【第95話】コスタリカからの教訓
さて、今回は中米の南に位置する「コスタリカ」の森林保全のお話。まずは、コスタリカの基礎知識から。
コスタリカ
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基本情報
●国名
国名は「コスタリカ共和国」。
(英:The Republic of Costa Rica、西:La República de Costa Rica)
「コスタリカ」とはスペイン語で「富める海岸」という意味です。
●国旗
俗にフランス国旗を2つつなげたと云われているコスタリカ国旗は、1848年、当時の大統領夫人パシフィカ・フェルナンデス・デ・カストロのアイデアによるもので、国旗に使われているそれぞれの色は、青が青空、白はその青空に浮かぶ白い雲、赤は独立の時代に流された先人の血を表しています。
コスタリカの国章は国旗の中央左側に描かれたり、或いは官公庁の建物入り口に飾られたりしていますが、より一般的にはコインのデザインとして親しまれています。この絵には、手前がカリブ海、背景が太平洋で中央にコスタリカ領土を表す三つの火山と大航海時代を意味するスクーナ船が描かれています。また太陽は独立を、七つの星はコスタリカの7県を表し、下には征服者を表すクロス(十字架)も描かれています。
●国歌
国歌はグティエレス作曲、セレドン作詞。4章より成り、第1章は「青空の下に純白の平和が存在する」、第2章は「尊厳と名誉のために顔面を紅潮させて努力した」、第3章は「独立を脅かす者に対しては雄々しく立ち向かう」、第4章は「労働と平和を希求する」という趣旨の歌詞となっています。
●国教
憲法第75条により、国の宗教はローマン・カトリックとされていますが、普遍的倫理と良俗に反しない他の形態の信仰の自由な行使を妨げるものではありません。事実カトリック教徒は69.7%で、その他プロテスタント17.0%、その他の宗教(ユダヤ教、イスラム教、仏教他)4.1%、無宗教9.1%(2009年コスタリカ大学による調査)と、国内には多くの宗教が存在します。
●言語
公用語はスペイン語ですが、国は、「コスタリカ先住民族の言語の維持及び促進に留意する」こととされています。中~高級ホテルや空港カウンター、旅行会社などでは英語も通用しますが、それ以外の場所ではあまり通用しません。
●人口、民族
人口は2010年において約456万人(国家統計局)、2000年に実施された調査によると大半はスペイン系白人及び先住民との混血です。その他先住民、黒人、中国系が約4%ほどを占めています。
●国境
北はニカラグア、南はパナマと陸続き。
●日本との時差
マイナス15時間
●保健衛生
飲料水は、市販のミネラル・ウォーターを飲むことが望ましいでしょう。
地方では、マラリア、デング熱などの熱帯病が発生する地域もあるため、虫除けスプレーなどの持参や適切な服装が望ましいでしょう。
●治安状況
治安の悪化が大きな社会問題となっており、銃やナイフを用いた強盗・窃盗、カージャック、麻薬組織絡みの犯罪が増加傾向にあります。ネックレス等の貴金属類をはずすとともに、昼夜を問わず単独の行動はなるべく避けるようにしてください。
また、宿泊場所は多少料金が高くても安全なところを選定することが望ましいでしょう。
●移動手段
サンホセ市内の路線バスは充実していますが、車内での盗難が多いため、なるべく無線タクシー(数社ある)を使うようにしてください。
中長距離バスでは、寝ている隙に盗難されるケースが多いため、手荷物などは肌身から離さないように注意してください。
●クレジットカード
VISA、MASTER、AMEXが主に使用可能。JCBの使用は限られています。
●換金
現地通貨はコロン(Colon)で、対米ドルレートは、US$1=495コロン(2011年4月現在)。ホテル、レストラン、スーパーマーケットではドルでも支払えます が、100ドル札は受け付けないところが多いです。
●電圧
110V、60ヘルツ。基本的に日本の電化製品はそのまま使用できますが、電圧はあまり安定しないため、PC等の精密機器を使用する場合は変圧器及び安定器を用いる方が望ましいでしょう。
●チップ
レストランでは料金の約10%がサービス料として請求書に含まれていることが多いです。ホテルのベッドメーキング、ボーイなどには1ドル程度。ホテル、空港のポーターには荷物1個につき2ドル程度。
●ビジネスアワー
官庁は週休二日制。銀行や会社も週休二日制が多いです。大型スーパーやショッピング・センターは365日開店。営業時間は、官庁は7時半~16時半までのところが多く、銀行は9時~15時(ショッピングセンター内併設銀行は、営業時間が長い上週末も開いているところが多い)、一般企業では8時~17時頃まで。
地理・気候
●位置
コスタリカは南北アメリカ大陸を結ぶ地峡地帯に位置する面積約5万1,000k㎡(ほぼ日本の九州と四国を合わせた大きさ)の国で、北緯10度(日本の最南端は北緯20度)の緯線、西経84度の経線が国の中央を通っています。北は約300㎞の国境線でニカラグアと、南東は約350㎞の国境線でパナマに接しており、東はカリブ海に面し単調な海岸線が約200㎞続きくのに対し、西は太平洋に面し半島や湾が入り組んで海岸線の総延長は約1,000㎞にも及んでいます。
●地形
国土の約半分は海抜500m以上の高地で、北からグアナカステ火山脈、ティララン火山脈、中央火山脈、タラマンカ山脈が連なり、この国の中央を背骨のように走っています。中央山脈の南にある中央盆地は、海抜900~1,500mの緩やかな起伏地形となっており、首都サンホセ市(海抜1,150m)を始め、カルタゴ市、エレディア市、アラフエラ市等主要都市が集中し、全人口の約60%強の人々が生活する等あらゆる意味でコスタリカの中心となっています。太平洋岸は山脈が海岸まで迫っているため、川は短く流れは急で、北部のグアナカステ地方と南部のゴルフィート地方を除いてほとんど平野はありません。一方、カリブ海側は高低の少ない密林に覆われた広い平野が海岸まで広がっています。
●気候
北緯10度に位置する当国では、低地のカリブ海側や太平洋側の低地部は年平均気温摂氏30度の熱帯ですが、サンホセ市を中心とする中央盆地の平均気温は摂氏25度前後で年間を通して大きな変化はありません。当国の季節は大きく乾期(夏)と雨期(冬)に分かれ、概して12月~4月が乾期、5月~11月が雨期に当たります。乾期にはほとんど雨は降らず、日中の日差しが強い上に強い風が吹き、かなり埃っぽい時期といえます。他方雨期には午後ほぼ毎日雨が降り、湿度も高くなるので蒸し暑さを感じることもあります。
サンホセの湿度は年間平均約80%、年間降雨量は約1800mmです。太平洋、カリブ海沿岸の低地は高温多湿の熱帯性気候を有しています。
●ヨーロッパ人の到達~入植~植民地時代
コスタリカの歴史は1502年、コロンブスがその第4次航海でカリブ海岸のリモンに到着したときに始まります。もちろんそれ以前から先住民が農耕生活を営んでいましたが、当地においては、インカやアステカ等に見られるような大規模な文明の歴史はありませんでした。
コロンブスの第4次航海後北西部のニコヤ半島及びカルタゴを中心とする中央盆地にスペイン人の入植が開始され、その後1542年、グアテマラ総督府の設置とともに、コスタリカもその支配下に組み入れられました。
この時代のコスタリカの暮らしは大変なものであったようです。雨期の湿気は穀物まで腐らせてしまうほどであり、金銀などの貴金属はさっぱり無いのに本国からの課税は容赦なく取り立てられ、労働力として必要な先住民も少数で大農園を作るほどの余裕はなく、トウモロコシ、小麦、バナナ、サトウキビ、オレンジ、アボガド等の農作物は全て自給のための生産物で、商業用の作物生産までは手が回らない状況でした。
●独立~現在
19世紀に入って、スペイン本国の国力の衰退と、本国のためにではなく自分自身、自国のために生きたいと願う独立思想の芽生えを背景として、1821年9月15日グアテマラがスペインより独立したのに伴い、グアテマラ総督領の一部であったコスタリカも同時に独立することとなりました。しかしこの段階の独立は完全なものとは言い難く、翌1822年中米連邦が結成されると、コスタリカはその一員としてメキシコ帝国に合併されました。コスタリカが中米連邦からも離れ、「コスタリカ共和国」として真に独立したのは1848年のことです。
独立後のコスタリカは、コーヒー・ブームに乗って発展し、少数の富裕層をつくることとなりました。この新興富裕層は自分達の中から大統領を選び、彼らに有利な自由放任主義の政治を行ったり、また、コーヒー経済で教育の機会を得て育ったインテリたちが政治に介入した結果「インテリ独裁」の恐怖政治が続きました。しかし、1920年代に入るといくつもの政党が結成され、激しい対立を繰り返しながらも真の民主的な共和国づくりのための努力が続けられました。1949年に制定された現憲法は、その高度に民主主義的な性格で定評があります。
コスタリカの主な産業はコーヒー、バナナ、牧畜業であり、そのほかに観葉植物があげられますが、最近は観光業がめざましい発展を遂げています。コスタリカは第二次大戦後、社会福祉、教育に力を入れ中米の模範国となっていますが、その為財政は常に赤字になっており、インフラ整備も十分とは言えません。
最近では、中米和平努力や国連平和大学の創設等国際的な活躍も大いに行われており、1987年にはアリアス大統領の中米和平努力に対しノーベル平和賞が授与されました。また、1989年にはコスタリカ国民の民主主義100周年に当たり、22年ぶりに米州首脳会議がサンホセで開催されるなど、各種記念イベントを通して国民の意識高揚が図られました。
豆知識
●エコ・ツーリズムの国
コスタリカは米映画「ジュラシック・パーク」の舞台に取り上げられた国として有名で、地球上の全動植物種の約4%が生息すると言われる肥沃な自然環境を有しています。蝶類及び鳥類の豊富さはもとより、ウミガメの世界的産卵地としても有名です。「火の鳥」のモデルとなったケツァール、色とりどりの嘴を持つトゥカンなど、熱帯国ならではの鳥類を観察することができます。
こうした事情もあって、コスタリカはエコ・ツーリズムの開発に熱心で、また国土の約四分の一が保護区に指定されているなど、環境保護に積極的に取り組んでいます。
●国民的スポーツ:サッカー
コスタリカ人はサッカーに熱狂的な関心を持っていて、いつ何処の広場でもサッカーに熱中している人たちの姿を見ることができます。現プロリーグは、1部12チーム、2部 22チームで構成され、毎週2回各地で試合が行われています。
2005年12月に日本で行われた世界クラブ選手権大会では、当国の人気サッカーチーム「サプリッサ」が3位になりました。また、当国のナショナルチームは2002年日韓共催、2006年ドイツと連続でワールドカップにも出場しており、日本では三重県鈴鹿市でキャンプを行いました。
●最良のコーヒー産出国と上質な木工製品
当国は、ジャマイカのブルーマウンテンと並び称される良質のコーヒーを産し、タラス(カルタゴ県)やパルマーレス(アラフエラ県)を中心とした地域が生産の中心地となっています。主な輸出先はドイツ、米国に続き、現在は日本にも多く輸出され、グルメコーヒーとして高い評価を得ています。また、上質な木工製品が主にサルチ(アラフエラ県)を中心に生産されていて、当国の主要土産品となっています。
●進んだ民主主義と「コスタリカ方式」
コスタリカ国会は一院制で、比例の代表により57名の議員が選出されます。また、議員の連続再選が禁止されています。日本で用いられている「コスタリカ方式」(衆議院の同一小選挙区で同政党の候補が話し合い、一人が小選挙区、他が比例代表に立候補し、次の総選挙では交代し、小選挙区での出馬を交互に譲り合う方式)の名称は、国会議員の連続再選を禁止したコスタリカの選挙制度をヒントに付けられたとされています。
●アリアス大統領、ノーベル平和賞を受賞
1987年8月7日の中米首脳会議では、オスカル・アリアス大統領(当時)提案を基礎とする「中米における確固たる恒久的和平確立のための手順」(グァテマラ和平合意)が署名され、中米和平が新たな段階に入りました。同大統領はこの功績を認められ、同年10月、中米の大統領として初めてノーベル平和賞を受賞しました。受賞伝達式で同大統領は、コスタリカ国民全体の栄誉として受賞する旨コメントをしています。
なお、同大統領は、ノーベル平和賞の賞金34万ドルを基に、1988年、「平和と人類の進歩のためのアリアス基金」(アリアス大統領夫人が理事長を務める)を設立しました。同基金には、我が国よりも、1989年3月に2千万円を拠出した実績があります。
●常備軍の不保持
コスタリカでは、1949年、ホセ・フィゲーレスによって軍隊が廃止されました。フィゲーレスは、大統領選挙に端を発して起こった1948年の内戦に勝利を収めた後、軍隊廃止を決意しました。その結果1949年、憲法改正議会選挙を実施し、常設軍廃止が決定されました。以降、軍事クーデター等による政情不安に陥る事のない、政治的に極めて安定した民主主義国家となっています。非常事態の際は国会議員の3分の2の賛成投票により、徴兵制の実施及び軍隊の編成の権限が大統領に与えられていますが、1980年代の中米紛争においても軍隊は組織されませんでした。
なお、1948年に米州相互援助条約に加盟する等、国連憲章第52条に基づく米州集団安全保障制度を国防の基本方針としています。また、モンヘ大統領(当時)は中米紛争の只中、1983年11月に「コスタリカの永世的、積極的、非武装中立に関する大統領宣言」を行いました。
●財政改革
日本と同様高齢化が進み、社会保障制度については財政負担が増加し、その結果同制度の維持が困難となっています。このため、2001年2月に労働者保護法が成立し、年金・退職金制度の改革が行われました。また、教育・福祉関連予算が手厚い分、道路・港湾等の基礎インフラ整備にまで十分な予算が回らないという問題が生じています。右に関し、ロドリゲス政権最終年に活発な道路整備が行われ、同政権の大きな成果となっています。
更に1980年代より続いている公共部門赤字(94年には対GDP比8.1%と中南米で最大となったが、2005年には3.4%まで回復)削減の為の国内経済構造改革、並びに政府発行の国債元本・利子返済が国家予算の半分を占めるに至っており、国内債務問題の解決が大きな問題となっています。
●観光、外国投資誘致
コスタリカは、豊かな自然、安定した政治状況、高い識字率による質の高い労働を売り物にして、フィゲーレス前政権当時より、観光業の振興と並んで外国投資、特にハイテク産業の誘致を産業政策の柱としてきています。
同目的の為、政府は小中学校における英語、コンピュータ教育の充実、大学における技術系プログラムの改定、国立先端技術センターの設立等、人材育成に力を注いでいます。この結果、1996年には米国インテル社の誘致に成功し(98年3月より操業開始)、この他、米アボット社、P&G社の進出、マイクロソフト社のバーチャル教育パイロット・プロジェクト導入と、ハイテク産業を中心とした付加価値の高い外資誘致が盛んに進められています。
●インテルの進出
当国は伝統的にバナナ、コーヒー、繊維製品等を主要輸出作物としていましたが、前述のとおり1998年3月から当国においてインテル社が操業を開始し、パソコンCPUの輸出が始まりました。同社の生産する電気回路モジュール用部品及び電気ミクロ構造物は、伝統輸出産物を凌ぐ程の輸出品目となっています。
●南南協力の拠点
コスタリカでは、中米域内では比較的教育程度も高いことから、長年第三国研修の拠点となって、1996年度までは、農業、医療、麻薬対策の3分野で中南米諸国向け研修を行ってきました。近年の事例では、我が国無償資金協力並びにプロジェクト方式技術協力で整備された「中米域内産業技術者育成センター(CEFOF)」において97年11月より「生産性向上」、2005年より「ラテンアメリカにおける刑事司法制度の改善」の第三国研修が開始されています。2001年からは毎年1回コスタリカにおいて、中米リハビリセミナーを開催しており、コスタリカの経験を中米に普及しています。96年末のグアテマラでの最終和平成立により中米地域の紛争が一通り終結し、中米域内の統合、持続的開発促進が進展しつつあり、地域内の比較先進国であるコスタリカを拠点とした南南協力が期待されます。”
(出展:在コスタリカ日本国大使館HPより URL:http://p.tl/E063 )
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治安は少々悪いようですので、旅行に行かれる方は充分お気を付け下さいヾ(;´Д`A
ではいよいよ本題へ。
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倫理と環境:コスタリカの教訓
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課題は明白だ。人口は増加し続け、炭素排出量が記録的な数値に急上昇する中、世界的な環境指標はどれも誤った方向へ向かっているように見える。しかし、楽観主義の余地は多分に残されている。中央アメリカの小国コスタリカでは驚くほど好ましい傾向が現れ続けているからだ。
当初、コスタリカの森林の物語は悲劇のようだった。1940年代、国土の75パーセント以上は手つかずの森林に覆われていて、そのほとんどは熱帯雨林だった。ところがその後の数十年間、無計画で激しい森林伐採が続き、国の貴重な森林資源が現金収入に変えられてしまった。 1983年にはわずか26パーセントの国土が森林として残るにいたり、森林の減少率は 年間5万ヘクタールに達した。
この時点で、驚くべきことが起こり始める。1989年には、年間の森林減少率が2万2000ヘクタールにまで減少した。1994年になると、さらに減少して4000ヘクタールとなり、1998年の森林減少率はゼロだった。今日、森林面積は 52パーセントまで拡大しているが(1983年の2倍)、政府はこの数字を70パーセントにまで引き上げ、 2021年までにカーボンニュートラル化を実現するという野心的な目標を打ち出した。
しかし、コスタリカはどのようにして、これほど驚くべき方向転換をなし得たのか? そして、それと同時進行で教育水準の向上や貧困の減少といった社会的指標においても実にすばらしい結果を残せたのはなぜか? 現在、森林破壊や砂漠化や生物多様性の急激な喪失によって大きな打撃を受けている世界中の国も、同様の成果を期待できるだろうか。
正しい組み合わせ
その答えは、倫理と環境主義と効果的な政策決定の組み合わせにありそうだ。コスタリカの主要な意志決定者たちの、既成概念にとらわれない発想を受け入れる姿勢は、1948年の常備軍解散の決定に表われているかもしれない。横浜にある国際連合大学高等研究所で行われた 2011年11月9日のプレゼンテーションで、コスタリカの在日大使アルバロ・セデーニョ・モリナリ閣下は、軍の解散は基本的に倫理的決断だったことを次のように語った。
「振り返りますと軍を解散してから63年が経ちました。一見、非常に型破りなこの決定は、追加投資を国の社会的および環境的プログラムに充当するという点で、大胆かつ有効だったことが証明されました。これと同様の前向きな倫理観に基づき、国は1994年に憲法を改正し、「健康で生態学的に均衡のとれた環境に対する(中略)すべての人の」権利を明記しました」
森林破壊のスピードを遅らせ、最終的にはその傾向を逆転させることにコスタリカが成功したのは、自国の生態系の価値を政策決定者たちが認めたからだ。特に農村地域での貧困の削減方法として 生態系サービスへの支払い(PES)の利用を決定したことも、成功の一要因である。コスタリカのPESプログラムの中核には、健康な生態系は幅広いサービスを提供するという理解があり、そのサービスには炭素隔離、水のろ過、医薬品や自然薬の材料となり得る遺伝資源の生息地の提供などが含まれる。土地所有者に経済的インセンティブを提供することにより、いわゆる コモンズの悲劇(誰でも利用できる無料の資源は時間の経過と共に徐々に劣化するという説)を回避することができる。
これらの政策は、経済的福祉は健康な生態系と密接に関連しているという理解を示している。セデーニョ・モリナリ大使は、次のように簡潔に説明している。
「私たちが使うすべての製品やサービスを生産するための工業・経済の全過程で使用されるすべてのエネルギーや原材料の100パーセントを、私たちは環境から得ています。100パーセントです。一部ではなく、すべてを環境から得ているのです」
1969年、コスタリカは森林伐採認可の規制と森林局の創設を定めた最初の森林関連法を制定した。善良な発想にもかかわらず、この政策からプラスの結果が目に見える形で表われ始めたのは10年近く経ってからだった。さらなる支援が得られたのは1984年、自然資源の保護に対する融資をアメリカ国際開発庁から受けた時であり、さらに1989年、コスタリカの対外債務の返済分を環境保護活動に再投資できるように、再交渉が行われた。
その後、1996年、環境サービスへの経済的インセンティブを強化し制度化する国家森林財政基金が設立された。このプログラムの開始時に、保護された森林1ヘクタール当たり120USドルが支払われ、 今日までに2億3000万USドルが農村地域や先住民のコミュニティーや個人など、幅広い対象に支払われてきた。加えて、このプログラムは直接的に 1万8000人の雇用を生み、間接的にはさらに3万人の雇用を支援した。人口450万人という国にしては相当な雇用創出である。同プログラムの資金源は様々で、外債や寄付金、森林クレジット認証、化石燃料の利用税からの歳入などが含まれる。
環境に配慮し、かつ経済的であること
コスタリカの森林再生・植林活動への投資と経済的福祉の間には、明らかな関連が見られる。同国のGDPの50パーセントは観光関連であるため(冒険旅行やエコツーリズムが大きな割合を占める)、環境対策に力を注ぐことは良きビジネスを意味しているのだ。カーボンニュートラル化を2021年までに実現するという目標の下、2007年にコスタリカ大統領が宣言した パックス・ナチュラ(自然との平和)イニシアティブは、環境対策を支えるさらなる倫理的基盤を確立した。
同イニシアティブのウェブサイトには、CO2排出量を測る炭素計算機も掲載されている。コスタリカが外国からエコツーリストを呼び込むことに重きを置いている点を考えれば、炭素排出は特に重要な問題だ。同イニシアティブの炭素認定プログラムは最近、国際的な CCB(気候・地域社会・生物多様性) スタンダードによりゴールド認定を受けた。
近年の世界的な経済・金融危機を乗り越えようとする取り組みによって、経済問題が政策決定における最重要課題のように思われているが、コスタリカの壮大な倫理観は公共部門と民間部門の両方から共鳴を呼んだようだ。同国の大手ビール製造会社の1つ、フロリダ・ベビダス社を含む企業は、企業の社会的責任という責務を引き受け、ウォーターニュートラルや廃棄物ゼロを目指す 自主的な目標を設定した。こうした目標は今日の世界において奇異に映るかもしれないが、コスタリカでは環境主義のサイクルが根付いているようであり、フロリダ・ベビダス社の最近の発表を見る限り、その傾向は今後さらに強まりそうだ。 発表によれば、製造過程や保存、管理施設で出される廃棄物を99.4パーセント削減することに成功したのだ。
しかし、世界が相互につながり、依存し合う現状を考えると、コスタリカの成功は全世界の成功でもある。コスタリカの熱帯雨林に存在するような生物多様性は、製薬会社にとって途方もなく重要な新発見につながる宝庫であろう。加えて、同国が提供するエコツーリズムは、ある人にとっては単にリラックスできる休暇かもしれないが、現地を訪れた人々の心に環境保護に関する新たな認識を芽生えさせる可能性がある。
世界に示す教訓
コスタリカの政治家やビジネスリーダーたちが下した決断のうち、どれが他の国でも採用できるかを予測するのは難しい。当然、すべての国が国際的エコツーリズムに大きく依存できるわけではない。しかしコスタリカでは、健全な経済は健全な環境なしに長期的に存続するのは不可能だとする基本的認識が共感を呼んだようであり、それが基盤となって公共部門と民間部門の両方で環境に配慮した意志決定が何十年も行われてきた。恐らくコスタリカが世界に与えた最大の貢献の1つは、公共部門と民間部門が共有し、国全体に利益をもたらす環境的倫理システムを国が確立することは可能であると単純明快に示したことだと言えよう。
このような環境に関する明るいニュースを珍しく見かけると励みになるものだが、世界中の政策決定者たちと同様にコスタリカのリーダーたちも今後、厳しい課題と困難な決断を迫られるという点を指摘しておくのは重要だ。例えば、コスタリカは森林破壊の傾向を逆転させるという快挙を遂げたにもかかわらず、 複数の報告によれば、同国のバイオキャパシティーは引き続き減少している。その原因はまだ不明だが、大規模な生態系の変化による負の影響が今後数十年間に渡って続き、そうしたプロセスを遅らせたり逆転させたりするための大幅な対策が講じられた後でもその影響は続くという、ゾッとするような説もある。
同様に、コスタリカの国民1人当たりのGDPが増えれば、現在、 輸入化石燃料に依存している輸送部門も成長するため、エネルギー需要も増大し続ける。現在のエネルギー需要の99.2パーセントは再生可能資源で賄われているが、再生可能エネルギーの増産の可能性は限られており、 マイナスの副作用を及ぼすかもしれない。コスタリカは火山から得られる豊かな地熱エネルギーを利用するだろうか? しかしすべての火山は現在国立公園内にある。それとも、国内の河川に水力発電所を増設し、その環境コストを受け入れるだろうか? あるいは、新たな革新技術がもっと魅力的で環境に優しい方法を生むだろうか?
環境破壊に関する大量の報告は、最も楽観的な政策決定者さえも圧倒するほどの勢いであるが、コスタリカを訪れることは(文字どおり)一服の清涼剤となるかもしれない。1992年の地球サミットの20周年を記念するリオ+20会議が間近となり、世界の目は今まで以上に2012年の環境問題に注がれることだろう。
過去30年間のコスタリカの偉業を深く考察することが、世界規模の現実的な変化を起こすための、ちょうどよい弾みとなるかもしれない。”
(出展:OurWorld2.0 2011年12月13日 ロバート・ブラジアック氏執筆記事より URL:http://p.tl/wsYw )
- 外務省HPによれば、
- 「平成22年3月20日(土曜日)(現地時間3月19日)、コスタリカ共和国の首都サンホセ市において、我が方 山口英一 駐コスタリカ国大使と先方 ブルーノ・スタニョ・ウガルテ外務・宗務大臣(Sr. Bruno Stagno Ugarte, Ministro de Relaciones Exteriores y Culto de la República de Costa Rica)との間で、7億円を供与額とする無償資金協力に関する交換公文の署名式が行われました。
本件環境プログラム無償資金協力「森林保全計画」(供与額:7億円)は、コスタリカ北部のカリブ海沿岸を始めとする全国各地の森林保全・管理を目的とし、森林の植生状況の調査、関連の基礎情報の収集・分析、監視活動等に必要な車輌、コンピュータ、通信機器、その他赤外線カメラ、GPS機器などの機材等を供与するものです。この協力により、同国における効果的な森林保全計画の立案、自然保護区及びその周辺地域にある既存の森林の違法伐採の抑止等に貢献し、さらに森林保全による温室効果ガスの吸収源の維持・拡大にも寄与することが期待されます。」・・・とあります。
日本も、コスタリカの森林保全に一役買っているわけです。ただし、7億円もの供与額が有効に利用されているのかどうかは、しっかり「見える化」する必要がありますな。まぁ本件に限らずODA全般に言えることですが。。。
それはさておき、日本もコスタリカから学ぶべきは学び、環境保全とエネルギー自給の両立を実現しなければいけませんな。勿論、「原子力」抜きで!
ということで、本稿の予定終了でございます![]()
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